ブラームスの交響曲全集 ザンデルリンク新旧録音比較
ブラームスの交響曲全集に関して言えば、ベルリン響を振ったザンデルリンクの新盤はだめである。シュターツカペレ・ドレスデンを振った旧盤が、ブラームスそのものが伝わってくる迫真の演奏なのに対して、新盤はブラームスがストレートに伝わってこない重苦しい演奏である。ブラームスそのものよりも、晩年のザンデルリンクを聴かされているとでも言おうか。
壮年期のザンデルリンクは、無私に曲そのものの魅力を旧東ドイツのオケから引き出す名人だったと思うが、晩年になって、彼に特徴的な絶妙のオーケストラ・コントロールを失い、覇気をも失って鈍重になってしまった。
例えば、バーンスタインは、齢を重ねる毎に新しい境地を開拓し、気宇壮大なオーラを放つ解釈の深まりを示す天才指揮者だった。ゆえにバーンスタイン晩年のテンポの遅さには必然性が感じられるが、ザンデルリンクが齢を重ねてテンポを遅く取るようになっても、そこにはオーラが顕現せず、ただ単に鈍重に感じられるのである。重厚壮大ではあるが、真に胸に迫るものがないのだ。
ザンデルリンクのブラームス交響曲全集の旧盤は、DENONクレスト1000シリーズのリマスターなら、Capriccioのデジタル録音による新盤と比べて音質面でも遜色がない。オケの優秀さがそれを手伝っている。
これは旧盤と新盤の両方を揃える必要はない。旧盤だけで十分である。だいいち、新盤はCapriccioというドイツのレーベルが倒産すると同時に、すでに廃盤になっている。
思うにあの新盤は、Capriccioが倒産しなくても、いずれ廃盤になっていただろう。
旧盤(推薦)
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